PC構造概要

現場打ちPCとプレキャストPC

PCとはプレストレストコンクリートの略称で、建物では梁や床に多く用いられており、鉄筋コンクリート造では設計が難しい大スパン架構や積載荷重が大きい建物に適しています。コンクリートの劣化や内部の鉄筋の腐食の原因となるひび割れを制御することにより外部環境に対して高い耐久性が付与されます。また、部材をプレキャスト化することにより複雑な形状でも工場で製造が可能となり、現場打ちでは表現できない意匠を実現できます。

PCの原理

PC構造は鉄筋コンクリート構造をプレストレスにより補強した構造です。プレストレスとは、梁の中に内蔵した高強度の鋼より線(PC鋼より線)を油圧ジャッキで緊張することによりコンクリートに与えられる圧縮応力です。これにより、躯体自重や積載荷重による曲げ応力でコンクリートに生じる引張応力度を相殺して引張応力度が生じないコンクリート断面を実現します。

PCの特長

PC構造はひび割れが入らないコンクリート構造です。従ってPC梁を用いた架構では、柱と柱の間が20mを超えるような大空間や重量物が載る床などを実現することができます。但し、設計荷重以上の力が作用した場合にはひび割れが発生することもあります。ところがこの力が無くなると、再び元の状態に戻ろうとしてひび割れが閉じてしまうという高い復元性があります。沿岸域などの鋼材腐食に対して厳しい環境でも、長期にわたって鋼材を腐食から護り、その性能を維持します。

プレストレスの与え方 ~ポストテンション方式とプレテンション方式~

プレストレスの与え方には以下の2通りの方式があります。

ポストテンション方式

おもに建築現場でプレストレスを導入する場合に採られる方式で、下記の流れでプレストレスが導入されます。

1.現場にて鉄筋、PC鋼材、型枠を組立てます。

2.コンクリートを打設して養生し、コンクリート強度の発現を待ちます。

3.コンクリート強度発現後、PC鋼より線を緊張し、ダクト内にPCグラウトを充てんします。

プレテンション方式

部材製作工場でプレストレスを導入する場合に採られる方式です。ポストテンション方式と異なり、PC定着具を使わずにコンクリートの付着によりプレストレスが導入されます。PC鋼より線はコンクリート打設前に緊張されます。

1.反力台にPC鋼より線をセットし、ジャッキで緊張します。

2.鉄筋・型枠の組立て、コンクリート打設・養生を行います。

3.ジャッキの緊張力を解放し、部材端部でPC鋼より線を切断します。

PC鋼より線とコンクリートが付着しているため、PCグラウトは不要です。

ボンド工法とアンボンド工法

ポストテンション方式は、ボンド工法とアンボンド工法に分類されます。
ボンド工法は、前出の『プレストレスの与え方【ポストテンション方式】』で説明した、シースと呼ばれるダクトとPC鋼より線の空隙にPCグラウトと呼ばれるセメントミルクを注入し、コンクリートと一体化させる工法です。
アンボンド工法は、アンボンドPC鋼より線と呼ばれる、ポリエチレン被覆されたPC鋼より線を用います。ポリエチレン被覆とPC鋼より線の間にはグリースが充てんされています。これを鉄筋と同様にコンクリート内に打ち込み、コンクリート硬化後にPC鋼より線を緊張します。従って、PC鋼より線とコンクリートは恒久的に付着が無い構造となります。マンションの床に用いられるアンボンドPCスラブが代表的な使用事例です。

アンボンドPC鋼より線
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