技報第14号
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3.3 供試体モデルおよび高流動コンクリートの性能 供試体は,図-4に示すとおり,接合部の鋼殻セルの中で最も水頭差が小さくなる最上段のセルを一つ切り出した箇所を模擬し,軸方向長さは鋼殻セル部2.0mと充実断面部2.0mの合計4.0mとした.なお,鋼殻セル上面には空気抜きの孔が設けられているが,縦断および横断の勾配の影響を吸収するためにこれを延長するシース管を設け,コンクリート硬化後に撤去することとした.供試体に用いる型枠材は,鋼殻セル部上面および側面(横断勾配の高い側のみ)を打設時の充填状況が確認できるようにアクリル板とし,その他には木材を用いた.使用する高流動コンクリートは,石灰石微粉末120kg/m3を添加した粉体系高流動コンクリートとし,目標性能は鋼材の最小あきや鋼材量から,土木学会がコンクリート標準示方書で定める自己充填性ランク「2」とした.スランプフローの規格値は500~700mmである. 3.4 試験結果 (1) 高流動コンクリートの性能変化について,練混ぜ直後と,練混ぜ完了から15分後(現場到着時想定),練混ぜ完了から45分後(荷下ろし完了時想定)に試験を実施した.スランプフローおよび空気量の試験結果と経過時間の関係を図-5に示す.図に示すとおり,練混ぜ完了から45分後に空気量の低下が確認されたが,いずれも規格値に収まっており,流動性を含めて問題ないことが確認できた.なお,U形容器を用いた充填高さ試験も実施し,いずれの経過時間においても充填高さは規格値である300mm以上を確保できることを確認した. (2)供試体内へのコンクリート充填状況について,充填中の型枠側面の状況と,充填完了後の型枠天端の状況をそれぞれ写真-1に示す.これらの写真に示すとおり,高流動コンクリートは投入時に所定の性能が確保されていれば,型枠内に密実に充填されることが確認された. (3) コンクリート硬化後に脱枠した鋼殻セル上面部に,打設時には確認されなかった深さ1~2mmの気泡が点在した.原因は,打設時に振動機などを用いない高流動コンクリート特有のもので,打設完了後に鉄筋やシースの下に残留していた気泡が時間とともに浮上したものと思われる.ここで,本橋の実施工における充実部の天端は横断勾配が8.0%であり,勾配の低い側は高流動コンクリートが型枠から流出してしまうために伏せ枠を設置した状態でコンクリートを充填する計画であった.よって,コンクリートの硬化後に伏せ枠を脱枠すると,実験で確認されたような気泡が天端に残留しており,橋面の仕上がりに問題が生じることが懸念された.そこで実施工では実験の結果を踏まえ,充実断面部の天端の伏せ枠は,コンクリートが流動しない程度まで硬化した段階で脱枠し,均す計画とした.この実験の成果を活かし,品質・美観の高いコンクリートを施工できた. 4.終わりに Dランプ1号橋は平成27年12月17日,無事にしゅん功を迎えた.完成後の外観を写真-2に示す. Key Words:鋼殻セル,高流動コンクリート,打設試験 長井吾朗 森石英信 別所辰保 廣池亮二 図-4 試験体側面図 図-5 高流動コンクリートの性能試験結果 写真-1高流動コンクリートの供試体への充填状況 写真-2完成状況 フープ筋:D16スパイラル筋:D19軸方向鉄筋:D19貫通鉄筋:D252.20%箱桁部フープ筋:D19箱桁部直交筋:D16ベースコンクリート排気シース管:φ40スペーサー上床版鉄筋(橋軸直角方向)(上面:D16,下面:D13)側枠透明アクリル板:13mm350上床版鉄筋(橋軸方向):D19接続筋D19400020002000天端透明アクリル板1100750ポンプ筒先型枠側面型枠天端排気シース管技報 第14号(2016年)7

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