技報第14号
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急速施工と高耐久化を目指したプレキャスト壁高欄の開発 技術本部 技術部 大山博明 大阪支店 土木技術部(九州支店駐在) 古村豊 大阪支店 土木技術部 山村智 東京土木支店 土木技術部 キア・チェン・メーン 1.はじめに 日本の高速道路では,経年による老朽化や当初予想に対する車両交通量の増大など,厳しい環境条件下において,構造物の変状が顕在化し,維持管理上の課題となっている.このような中,各高速道路会社では,総延長200kmを超える床版の取替工事が計画されている.工事においては通行止めや車線規制などによる供用路線への影響を最小化する目的から,工程短縮が求められることが予想され,その対策方法として壁高欄のプレキャスト化が挙げられる. 既往のプレキャスト壁高欄は,床版とプレキャスト壁高欄とをアンカーボルトなどの鋼製接合材で接合し,一体化を図る構造が一般的である.これらの既往工法では,十分な工程短縮にならず,施工性に課題が残る.また,鋼製接合材を使用しているため,雨水などの浸入に伴う接合材の腐食などの耐久性に対する課題があった.このため,今後,実施される大規模な床版取替工事にむけて,プレキャストPC床版に特化し,施工性と耐久性に優れた新しいプレキャスト壁高欄を開発することとした. 2.構造概要と開発における課題 2.1 プレキャスト壁高欄の構造概要 本プレキャスト壁高欄の構造概要を図-1に,施工フローを図-2にそれぞれ示す.本プレキャスト壁高欄の特長は,地覆部より上側の壁部をプレキャスト部材(鉄筋コンクリート製,fc’=40N/mm2)とし,壁部と地覆部との接合材に非腐食性材料の炭素繊維ケーブル(以下,CFCC)を使用しており,既往のプレキャスト壁高欄における接合部の腐食等の課題を排除した,高い耐久性を有することである.本プレキャスト壁高欄は,プレキャストPC床版(以下,PCaPC床版)に特化したものとして開発計画を行った.地覆と壁高欄は,地覆部内に曲げ加工して定着したCFCCをプレキャスト部材である壁部のCFCC挿入孔に挿入し,孔内に充填材を充填することで一体化した.また,地覆と壁高欄の接合部および壁高欄同士の接合部にはコンクリートせん断キーを設け,それぞれの目地部に充填材を充填することで一体性を確保する構造とした.このように現場における型枠組立を排除し,モルタルなどの充填材料の施工量を最小化することで現場施工の省力化を図ることとした. 2.2 開発における課題 本プレキャスト壁高欄の開発における課題は表-1に示す通りである.本稿では,④プレキャスト壁高欄の構造性能に関して検討した結果を報告する. 図-1 プレキャスト壁高欄の構造概要 表-1 開発における課題 No. 課題 ① CFCC挿入孔の粗面形成方法 ② 各充填材料の充填性能 ③ CFCCの定着性能 ④ プレキャスト壁高欄の構造性能 図-2プレキャスト壁高欄の施工フロー水平方向せん断キープレキャスト壁高欄 鉛直方向せん断キー 炭素繊維ケーブル(CFCC) CFCC⽔平せん断キー地覆鉄筋PCaPC床版の運搬・架設1間詰め地覆 間詰め床版・地覆の施⼯2 間詰め床版⽬地部の充填材の塗布⽬地部の充填材の塗布3PCa壁⾼欄の設置無収縮モルタル充填PCa壁⾼欄の設置充填材施⼯4 10

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