技報第14号
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3.部分試験体による静的載荷試験 3.1 試験概要 3.1.1 試験目的 本試験では,衝突荷重に対するプレキャスト壁高欄の構造性能を確認することを目的として,プレキャスト壁高欄の部分試験体を用いて当該荷重に相当する静的荷重載荷試験を実施した. 3.1.2 試験体形状および載荷試験装置 静的載荷試験の試験体形状および載荷試験装置を図-3に示す.試験体は地覆部を含む基部と,プレキャスト壁高欄部から構成される.両部材の組立てには,接合部に樹脂接着剤を,CFCCの挿入孔に高流動無収縮モルタルをそれぞれ使用して一体化した. 3.2 載荷試験の結果 壁高欄内側から破壊までの漸増載荷を実施した.載荷荷重と壁高欄天端の水平変位の関係を図-4および図-5に示す.載荷試験の結果,最大荷重は54.7kN,最大水平変位は53mmであった.また,37.5kN載荷時に接合部近傍のコンクリート部分にひび割れが発生し,一時的に荷重が低下したが,その後,CFCCが荷重分担することによって再び荷重が増加した.破壊形態は,コンクリートの圧縮破壊であり,破壊時のコンクリートひずみは約4000μに達していた.図-5に示す荷重と水平変位の関係から,ひび割れ発生前までは線形挙動であることから,設計衝突荷重は弾性体として取り扱うことができる.また,設計荷重と試験結果を比較すると,衝突設計荷重と最大荷重の比は,4.2倍であり,十分な安全性を有していた. 4.まとめ 既往のプレキャスト壁高欄の課題であった施工性と耐久性への課題を解決することを目的として,CFCCを用いた新しいプレキャスト壁高欄を開発することとした.これまでに,CFCCの定着性能や現場施工となる各充填材料を選定し,さらに,部分試験体による静的載荷試験を行うことで,壁高欄の基礎的な構造性能を検討した.その結果,設計荷重時にはひび割れや目開き,剛性低下は生じなかった.また,ひび割れ発生荷重や最大荷重は設計値を十分満足しており,十分な安全性を有していることを確認した.壁高欄に求められる性能は,車両衝突時における車両の逸脱防止性能である.この性能確認は,実車による衝突試験のほか,既往の研究では重鎮などによる衝突実験により行われている.このため,今後は衝突試験により安全性の検証を行う予定である. 謝辞 本プレキャスト壁高欄の開発は,東京製綱株式会社との共同研究であり,同社関係各位より多大なご協力をいただいた.また,実験実施にあたり,三菱マテリアル株式会社よりご支援をいただいた.これら関係各位に,心よりお礼申し上げます. 図-3 試験体形状および載荷試験装 図-4 荷重と水平変位の関係 図-5 荷重と水平変位の関係(拡大) 写真-1 載荷試験状況 Key Words:壁高欄,プレキャスト,急速施工,耐久性,炭素繊維ケーブル 大山博明 古村豊 山村智 K.T.Meng 6957051600300油圧ジャッキ球座(メス)球座(オス)支圧板異形支圧板100ゲビンデPC鋼棒φ3220015005001000500150020019001001400100190014002006957053007782507730.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 ‐10.0 0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 載荷荷重(kN)水平変位(mm)内側(北)内側(南)設計衝突荷重ひび割れP=37.5kN最大荷重P=54.7kN最大変位53mm※壁高欄正面から右側(南側)、左側(北側)を示す.0.0 10.0 20.0 30.0 40.0 50.0 60.0 ‐1.00 0.00 1.00 2.00 3.00 4.00 5.00 載荷荷重(kN)水平変位(mm)内側(北)内側(南)設計衝突荷重技報 第14号(2016年)11

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