技報第14号
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場所打ちを対象とした収縮補償フライアッシュコンクリートの検討 技術本部 技術研究所 鈴木雅博 名古屋支店 金沢営業所 小林和弘 1.はじめに プレストレストコンクリート橋(以降,PC橋と呼ぶ)の高耐久化と環境負荷低減などを目的として,早強ポルトランドセメント(以降,HCと呼ぶ)の一部をフライアッシュに置換したコンクリートが注目されている.混和材の使用は,コンクリートの緻密化による塩分浸透抵抗性の向上やアルカリシリカ反応の抑制など,耐久性の向上に寄与することが知られている.また,コンクリート製造時の二酸化炭素排出量の低減や未利用資源の有効活用などの環境負荷の低減にもつながる.こうした背景から,筆者らは,分級フライアッシュ(以降,FAと呼ぶ)を用いたコンクリートをプレテンションPC桁に適用するため,蒸気養生後の湿潤養生日数や構造特性を検討してきた.ここでいうプレキャスト桁架設方式のPC橋は,プレテンションPC桁とPC桁間の場所打ち部で構成されている.このため,次のステップとして,FAをPC桁間の場所打ち部に適用するための検討が必要となる. そこで本研究では,FAをプレテンションPC桁間の場所打ち部に適用することを目的とし,圧縮強度,透気係数および塩化物イオンの浸透抵抗性の検討を行った.ここでは,湿潤養生日数が材料特性に及ぼす影響について報告する. 2.試験概要 2.1 コンクリートの仕様 プレテンションPC桁間の場所打ち部に適用することを目的としているため,JIS A 6202 附属書2「膨張コンクリートの拘束膨張および収縮試験方法」のA法において材齢7日の膨張率が(200±50)×10-6を目標値とした収縮補償コンクリートとした.コンクリートの設計基準強度は,材齢28日において50N/mm2とした.また,スランプおよび空気量の目標値は,それぞれ,18±2.5cmおよび4.5±1.5%とした.設計基準強度に対する配合強度は,変動係数を8%とし,配合強度を58.0 N/mm2とした.配合強度を確認する圧縮強度の試験体の養生は標準養生とした. 2.2 使用材料および配合 使用材料を表-1に示す.セメントにはHCを,フライアッシュには北陸電力(株)七尾大田火力発電所で製造されるFAを使用した.膨張材(以降,EXと呼ぶ)は標準添加量20kg/m3の石灰系低添加型を使用した. コンクリートの配合を表-2に示す.配合はFAの混入の有無による材料特性の差異を把握するため,混和材にFAとEXを混合した配合(以降,FAEX配合と呼ぶ)とFAEX配合と同じ水結合材比および単位EX量とし,混和材にEXのみとした配合(以降,HCEX配合と呼ぶ)の2種類とした.FAEX配合の単位膨張量は予備試験より22kg/m3とした.配合FAEXは結合材の単位量からEXの単位量を差し引いた単位量の15mass%を単位FA量とし,85mass%を単位HC量とした. 2.3 湿潤養生日数の試験方法 養生方法を表-3に示す.試験体の養生は,翌日脱型後に湿潤養生日数を0日,2日,4日および6日の4水準とした.湿潤養生後,全ての試験体は室温20℃,湿度60%の室内に気乾養生した. 圧縮強度試験はJIS A 1108に準拠して実施した. 透気試験および塩化物イオンの浸透抵抗性試験に用いた試験体形状を図-1に示す.試験体の寸法は150×150×492mmとし,測定箇所は試験体の打込み面において3箇所とした.試験体はJIS A 6202 附属書2「膨張コンクリートの拘束膨張および収縮試験方法」のB法に準拠し,概ね同じ鋼材比となる全ネジのPC鋼棒φ17mmを用いて膨張および収縮を拘束した(鋼材比はJIS A 6202の膨張率において0.95%,本試験において1.0%).透気試験は二重構造を持つチャンバーの減圧型トレント法により材齢28日で実施した.塩化物イオン浸透抵抗性の試験体は,所定の湿潤養生後に材齢28日まで室温20℃,湿度60%の室内に静置し,その後,濃度10mass%の塩化ナトリウム水溶液に182日間浸漬した.浸漬した試験体を割裂し,割裂面に0.1mol/L硝酸銀溶液を噴霧し,浸透深さを測定した. 表-1 使用材料 材料 記号仕様 セメント HC早強ポルトランドセメント 密度:3.14g/cm3,比表面積:4410cm2/g 混和材 FAフライアッシュⅡ種(七尾大田火力発電所産) 密度:2.39g/cm3,比表面積:4650cm2/g 強熱減量:2.0% EX低添加型,石灰系 密度:3.16g/cm3,比表面積:3400cm2/g 細骨材 S 砕砂(早月川産),表乾密度:2.66g/cm3 粗骨材 G 砕石(早月川産),表乾密度:2.70g/cm3 高性能AE減水剤SPポリカルボン酸系 AE剤 AE高級脂肪酸系 表-2 配合 配合 W/B(%)単位量(kg/m3) 検討 内容 WB S G HCFA EX FAEX 3516538267 22 758 940湿潤養生日数HCEX 35165449- 22 766 950表-3 養生方法 養生方法 試験体記号気乾養生 D 翌日脱型後の湿潤養生2日→気乾養生 D3 翌日脱型後の湿潤養生4日→気乾養生 D5 翌日脱型後の湿潤養生6日→気乾養生 D7 14

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