技報第14号
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今回の施工報告では,上記の作業の中で特に注意を要する裏込めグラウト注入作業について紹介する. 4.裏込めグラウト施工時の留意点 4.1 施工上の留意点 裏込めグラウト材は,高耐久性裏込めグラウト(LU-10T)を使用した.LU-10Tは,水中不分離性と粉砕抵抗性を向上した繊維混入型のグラウト材であり,充填性向上と目地部でのポンピング防止効果が期待できる材料である.また,超速硬性を有し練り混ぜ完了から2時間で3N/mm2以上の強度を発現する.しかし,施工時においては練り混ぜ機,再撹拌機,圧送ホース内でのグラウト硬化及び閉塞が起きないよう常に気を配らなければならない. 硬化及び閉塞が起きないようにするためには,可能な限り練り混ぜ機の回転を止めずに施工すること,注入を止めてから次の注入箇所で注入を開始するまでの時間を短くすることが重要である. 特に本工事の場合,縦行路版(赤ハッチング部)の施工範囲は約100mに及ぶため,注入作業中に一度練り混ぜ機を移動しなければならず,注入中断後練り混ぜ機の移動を行ってから注入を再開させるまでの時間をいかに短くするかが重要であった.本工事では4tユニックに練り混ぜ機,発電機,水タンク,グラウト材等を載せて練り混ぜ作業を4tユニックの荷台上で行えるようにすることで,注入作業途中の移動をスムーズに行えるように工夫した.その結果,一度も注入中にトラブルを起こすことなく施工することが出来た.写真-2に裏込めグラウト注入状況を示す. 写真-2 裏込めグラウト注入状況 4.2 品質管理上の留意点 本工事での施工時期は非常に雨が多く,据え付けたPPC版の下に雨水が溜まる状況が多くあった.残留水があると裏込めグラウトの充填不足の原因となるため,注入作業前に水の有無を確認し,注入前に水抜き作業を行わなければならない.水抜き作業の模式図を図-3に示す.水抜き作業の手順は,スクリューボルトにて据付け高さが最も低いPPC版をジャッキアップする(PPC版底面に貼り付けたシール材と切削面との間に一部隙間が空く程度).グラウト注入孔,確認孔等からコンプレッサーにて高圧空気を送り込み,確認孔等からPPC版下の状態を確認しながら下に溜まった水を排出する. スクリューボルトPC版シール材グラウト注入孔等圧縮空気切削面雨水等を排出 図-3 水抜き作業模式図 5.おわりに 裏込めグラウトの品質保持し確実な充填を行うために,以下の留意点を挙げる. ○施工時の留意点 ・可能な限り練り混ぜを止めない. (練り混ぜ機,再撹拌機内部でのグラウト材硬化防止) ・注入作業は連続で行い,可能な限り圧送を止めない. (圧送ホース閉塞防止) ○品質管理の留意点 ・注入作業前にPPC版下に雨水等が無いかを確認し,ある場合は入念に水抜き作業を行う. 本工事は以上述べてきた施工の工夫により,所定の品質を確保でき,順調に施工を完了できた.(写真-3) 本報告が今後の同種工事の参考となれば幸いである. 写真-3 縦行路PPC版完了時全景 Key Words:PPC版,裏込めグラウト,LU-10T 久野航 江口正彦 眞子剛 竹下慎也 技報 第14号(2016年)19

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