技報第14号
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3.鉄筋のかぶり不足部への対応 図-3に示すように10mm幅の陽極2枚を溝内に縦置きに配置する設計であり,そのためには15mmのかぶりが必要である.事前調査では,鉄筋が表面に露出した箇所が確認されたため,防食対象となる全ての鉄筋を探査し,かぶりを測定した.その結果,約5割の鉄筋でかぶり不足を生じており,当該箇所では設計図面通りに陽極を設置することが困難となった. かぶり不足を生じた鉄筋位置における陽極配置方法として当初は,図-2のように鉄筋直下のみ陽極を90°ねじり横向きに配置し,5mm程度の陽極のかぶりを補修材の余盛りにより確保する方法を検討した. しかし本工事では補修材の余盛り箇所が膨大になり,余盛り用の型枠の設置が必要になるなど施工ステップが増え,また出来形の見栄えの点でも懸念があった.そこで,図-3のように電動ドリルで鉄筋上部に貫通孔を形成し,その中に写真-2のように鉄筋との短絡を防止するための絶縁テープによる被覆を施した陽極を通すことで,余盛りを不要とする方法を考案し良好な出来栄えを確保した. 陽極を挿入した貫通孔の後埋めは,陽極の後埋めと同時に行った.陽極設置溝内は写真-3のように充填材の充填状況を目視確認できるように半透明の養生テープを用いて型枠を設置し,注入ガンにより充填材を圧入することで良好な充填性を確保した.一定時間が経過し充填材の硬化が進んだ段階で,養生テープを取り外し,左官仕上げを行った. 図-2 当初のかぶり不足部の陽極設置方法 写真-2 かぶり不足部設置用陽極 写真-3 陽極後埋め状況 4.おわりに 本工事は, 鉄筋のかぶり不足が多数確認されたプレテンションPC単純床版橋に対して,モルタルの余盛りによる美観の低下を抑える陽極設置方法に変更して,PI-Slit工法の施工を行った.現在,直流電源装置に遠隔監視ユニットを設置して,随時モバイルで遠隔監視を行っており,復極量が100mV以上であり,防食効果が発揮されていることを確認している.本報告が今後の同種工事の, 参考となれば幸いである. Key Words:電気防食,プレテンション桁,かぶり,導通,チタングリッド陽極 山田直人 鴨谷知繁 φ6スターラップ15チタングリット陽極(G10Type-D)5φ6スターラップチタングリット陽極(G10Type-D)15図-3 変更したかぶり不足の陽極設置方法 技報 第14号(2016年)31

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