技報第14号
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安定解析は,修正Fellenius法により,「法面1段毎に鉄筋を挿入する施工サイクルで所要な安全率が確保できるか」,「鉄筋を挿入する施工サイクルを何段まで一括して行うことができるか」に着目して実施した. 切土掘削→ 法面整形→ 吹付け法枠工→ 鉄筋挿入工 図-5 当初設計の逆巻き工法による法面の施工手順 4.1.2 安定解析結果 安定解析結果を表-1に,切土掘削深さと安全率を図-6に示す.この結果から,ロータリーパーカッション式クローラ型の削孔機械を選定し,鉄筋挿入工を法面2段毎に施工することに決定した.削孔状況を写真-1に示す. 表-1 斜面の安定解析結果 掘削深さ (3段目小段より) 安全率 判定 摘 要 H=3.0m 1.094≧1.05 OK H=6.5m 1.054≧1.05 OKH=3.0mまでは補強済 H=9.0m 1.180≧1.05 OKH=6.5mまでは補強済 H=11.5m 1.072≧1.05 OKH=9.0mまでは補強済 図-6 切土掘削深さと安全率 4.2 吹付け法枠工に代わる法面保護工の選定 吹付け法枠工は,吹付け枠組立から現場打ち吹付けモルタルを施工するが,鉄筋挿入前に7日間の養生が必要で,逆巻き工法で施工するには,長い工期を必要とした.また,吹付けモルタルの専用プラント(10×30m程度)を現地に設置する必要があり,今回のような狭隘な山間部での施工では適した工法ではなかった. そこで,現場に広い専用ヤードが不要で養生期間が不要な受圧板(グリーンパネル工法)を採用した.受圧板構造図を図-7に,受圧板取付状況を写真-2に示す.特徴は,以下のとおりである. ① 工場二次製品,腐食に強く軽量なFRP製 ② 人力施工が可能 ③ 鉄筋挿入工のグラウト硬化後(養生3日)設置が可能 ④ 格子状の製品のため,法面全体の緑化が可能(雨水による浸食や冬期間の凍上崩落の抑制) 図-7 受圧板構造図 写真-1 削孔状況 写真-2 受圧板取付状況 5.まとめ 本工事の切土法面の施工は,狭隘な施工条件と厳しい工程の中で完了することができた.特に地質は岩盤(軟岩Ⅰ)の上に段丘堆積物が分布し,地下水位も高く,流れ目盤により施工中の法面崩落も懸念された.しかし,現場条件を十分に把握し,適切な施工方法を採用することにより,当初設計と同等以上の品質と出来形を確保しながら工程の短縮を図り,発注者の要求事項を満足することができた. 厳しい施工条件下での工事は,今後も益々増えていくと思うが,柔軟に対応しながら発注者の要求に応えていくことが,各技術者のレベルアップにつながっていくことになる. この報告が,今後の同種工事の参考になれば,幸いである. 写真-3 完成写真(切土法面箇所) Key Words:鉄筋挿入工,受圧板工 前木浩利 技報 第14号(2016年)41

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