技報第14号
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オープンテラスと明かり取りのルーバーを兼ねた異形PC階段版の施工 -京都産業大学(仮称)新2号館新築工事- 大阪支店 PC建築部 寺尾守弘 大阪支店 PC建築部 小林健太 大阪支店 PC建築部 市澤勇彦 ピー・エス・コンクリート(株) 兵庫工場 矢野力 1.はじめに 世界文化遺産「古都京都の文化財」の構成文化財である上加茂神社の御祭神が降臨したと伝えられる京都市北区の神山の南麓にキャンパスを展開する京都産業大学は2015年に創立50周年を迎えた.同大学は2012年から開校初期に建設された教室を建て替える整備事業を順次進めており,本稿で紹介する新2号館はその一環として新築された建物である. 新2号館は外国語学部が利用する各種教室,全学的な活用が期待される多言語多文化空間「グローバルコモンズ」と建物中央部に配置されたオープンテラスを持つ光庭からなる.このオープンテラスは各階教室へのアプローチ階段を兼ねており,これを構築する床にPC階段版が採用されている. 本稿ではテラス下階の明かり取りのルーバーも兼ねて配置されたPC階段版の製作,施工について,本設工事に先立って製作したモックアップ工事の部材も交えて紹介する. 2.建築概要 2.1 建物概要 新2号館は東西長さが標準6.3m×10スパンを含む76.2m,南北長さが1スパン11.7mのS造5階建ての2棟の長方形建物とその東西端に直交配置された廊下で構成されるロ型平面である.ロ型の中心部は階段状のオープンテラスが設けられた光庭として解放されており,テラス両端部には木製デッキ仕様の階段通路(踏面長さ1.85m,幅315mm,蹴上164mm)が2~5階教室へのアプローチとして通されている.表-1に建物概要を示す.写真-1に光庭全景を示す. 表-1 建物概要 工事名称 京都産業大学(仮称)新2号館新築工事建設地 京都市北区上加茂本山 発注者 学校法人 京都産業大学 設計・監理 株式会社 日建設計 建築・延床面積 3,564.02m2,12,952.40m2 階数 地上5階,地下1階 建物高さ 軒高17.440m,最高高さ19.515m 主体構造・基礎 S造,純ラーメン構造,直接基礎 用途 学校(大学) 施工 株式会社 鴻池組 PC施工 株式会社 ピーエス三菱 全体工期 2014年4月~2016年3月 PC工期 2015年2月~2015年8月 写真-1 光庭全景 2.2 PC階段版の特徴 PC階段版は11.7mスパンのオープンテラスを支える床構造に採用されており,10pの階段版で1層の鉛直荷重を支える.中央6.6m区間の階段版上下目地はテラス下階への明かり取り用ルーバーの役目を果たし,目地に嵌め込まれた強化合せガラスから自然光が採り込まれる仕組みである. ルーバーの機能と鉛直荷重に対する耐荷能を併せ持たせるために,中央部断面は通常の観客席に用いられるPC段床版を上下反転させた逆L型断面とし,その版間目地を上下に大きく拡げることで採光量を多く確保している点が特徴である. また,端部支承部はサッシ下地を兼ねて規則的に配置された極厚平鋼(t=50)の方立て柱間に固定されたCT型鋼に単純支持で載せる納まりである.支承部は室内現わしであり,サッシや階段際を走る雨樋とPC階段版間での止水性を上げるために,支承部断面はB=500mm,H=202~211mmの栗型断面として意匠,構造の両面で断面寸法の最小化が図られている点も特徴である.写真-2に端部支承部の取合いを示す. 写真-2 端部支承部の取合い 54

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