技報第14号
72/88

登録有形文化財に指定された建物の外壁改修工事 -下関南部町なべちょう郵便局- 大阪支店 建築部(広島支店駐在) 恒広哲雄 1.はじめに 本建物は明治33年(1900年)に下関郵便電信局として建てられ,以後115年以上を経た現在も日本で一番古い現役の郵便局(一部ポストカフェ)として使用されており,国の登録有形文化財に指定されている. 本改修工事においては,外観により登録有形文化財の指定を受けているため,「現状外観維持」が原則とされた.しかし計画段階において,中庭外壁おける漆喰壁等仕上を「現状外観維持」するためには多大な時間とコストが必要になると思われた.そのため,詳細な調査をおこない,下関市(教育委員会文化財保護課)および発注者と協議を重ねることで工法決定を行なった.また施工においては,外壁仕上に伝統建築技法のひとつ覆輪目地が施されており,全国にも数少ない技能者を探すことから始めることとなった.本報告は工法決定に至るまでの調査とプロセスおよび施工について報告する. 2.工事概要 2.1 建物概要 郵便局名 :下関南部町郵便局(国指定登録有形文化財) 工事名称 :下関南部町郵便局外壁修繕工事 工事項目 :外壁修繕・鋼製建具塗替・外壁中庭塗替 工事場所 :山口県下関市南部町22-8 発 注 者 :日本郵便株式会社 監 理 者 :日本郵政株式会社 中四国施設センター 株式会社 石本建築事務所 構 造 :煉瓦造(イギリス2枚積み,焼成煉瓦)2階建 屋 根 :木造四方葺降し,浅瓦葺 外 壁 :煉瓦下地化粧モルタル塗り覆輪目地切の上, 砂壁状薄塗材吹付け (創建時は砂漆喰下塗りの上,白漆喰覆輪横目地) 建築面積 :476.54 m2 延床面積:828.63 m2 高さ: 8.6 m 工 期 :平成26年4月2日~平成27年3月10日 3.工事計画 3.1 与条件 本工事の外壁改修工事は,2つのエリアに分けて工事計画を進めることとなった. ①外周:建物の東西南北に面する外壁部分 ②中庭:中庭に面する外壁部分 今回外壁の改修に対し,外観により登録有形文化財の指定を受けているため,「現状外観維持」が原則とされた. 補修は行うものの見た目は現状の外観を維持することを示す. 3.2 調査結果 調査の結果を元に発注者との協議し,以下の方針となった. 3.2.1 外周 浮き,ひび割れ箇所は補修の上,高圧洗浄を行った後石調塗装仕上げを行う.当初の計画通り工事を進める. 3.2.2 中庭 劣化度がひどく「現状外観維持」には多くの時間と費用がかかる.漆喰等煉瓦に塗られた仕上材はほとんどが浮いていて軽度の打撃でも剥落してしまう. →第三者への危険性を有しているという発注者の判断により,表面の漆喰は撤去.工法は改めて検討を行う. 写真-1 外周調査状況 図-1 中庭調査結果 64

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です