技報第14号
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重錘型PC鋼材緊張機の修理・復元 -国産初期型PC鋼材緊張装置- 技術本部 技術研究所 杉本昌由 1.はじめに 当社の前身である東日本重工業が昭和26年に国内で開発した初期型PC鋼材用緊張機である重錘型PC鋼材緊張機(以下,緊張機)を技術研究所において(株)ピーエスケーの協力の下,修理・復元作業を行った. この緊張機は国内のプレストレストコンクリート(以下,PC)製品の誕生と同時期に先人の技術者たちの試行錯誤により開発され,ボタン操作1つでPC鋼材に緊張力を導入することができるという当時としては画期的,現在でも十分に通用する機能を有したもので,昭和40年代の初めまで全国の工場で様々なPC製品を製造するために稼働していた.本稿では,緊張機が開発されたPC創成期と当社との関わりに触れるとともに,本緊張機の作動原理や具体的な作業手順について紹介する. 2.PCの創成期と当社との関わり 当社のPC技術は前身である石川県七尾市の東日本重工業(株)(現七尾工場)において戦後の造船業からの転身を図るために他製品を模索することから始まった.すなわち,わが国のPC実用化は,造船技術者の手によって始められた.昭和25年にPCの研究を始め,昭和26年日本で初めてのPC橋長生橋(写真-1)を完成させた.また,国内の鉄道インフラ整備を行う上で木材不足解消のためPC枕木(写真-2)を製造していくことでPC製品の生産技術を蓄積し,現在のPC業界のトップランナーとしての地位を築き上げてきた. 写真-1 日本初のPC橋 長生橋 写真-2 PC枕木の製造状況 3.重錘型PC鋼材緊張機の説明 3.1 緊張機概要と作動原理 PC製品を製造していく上で当社が開発したのが写真-3の緊張機である.当社においては緊張機の初号機であり,わが国のPC技術発展の基礎になった機械である. 写真-3 緊張機全体 この緊張機は梃子の原理(図-1)を利用したもので,必要な緊張力を導入するには予め錘の重量換算(錘重量の48倍の緊張力が導入される)したものを天秤の錘設置個所に置き,モーターで巻き取られた伸び吸収ネジのロッドの引張力と錘の重さが釣り合った瞬間に天秤が跳ね上がり,天秤の動きに連動したモーター用のリミットスイッチによりモーターが停止し,PC鋼材に必要な緊張力が導入される仕組みになっている. 図-1 緊張機原理 固定ピン 固定ピン チャック設置箇所伸び吸収ネジ錘設置箇所リミットスイッチ モータースイッチ電動モーター錘 74

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