工事の特徴

ピットに備え付けた免震ゴムによって
地震リスクを軽減する免震構造を採用

同マンションは超高層であるとともに、もう一つ大きな特徴を備えています。それが免震構造という点です。東日本大震災から10数年が経過しましたが、その後も各地で地震が頻発しており、建築物の地震対策は重要な課題です。特に建設中のウィザースレジデンス秋田は22階という超高層マンションという特徴から複数ある地震対策構造の中から免震構造が採用されています。
「耐震構造や制振構造は地震の揺れが建物に伝わることを前提にした構造ですが、免震構造は地震のエネルギーを吸収・分散する仕組みで建物の内部が揺れにくいという特徴があります。そのためケガの要因になる家具の落下や転倒といったリスクが軽減されるとともにドアが変形しにくいなど、設備への破損も軽減されます。つまり住まいの安全性を高めることで安心して住めるマンションになります」。(小澤所長)
この免震構造の構造物にするために用いるのが、地下ピット部分に備え付ける免震ゴム(アイソレーター)です。基礎部分に免震ゴムを8基と転がり支承を4隅に設置し、地震の揺れを吸収・分散することで建物への揺れを軽減。それにより建物内の電気・排給水・ガスなどのライフラインを守ることができます。しかし、この免震ゴムの設置では精度の高い施工が求められます。
「免震ゴムの工事でもっとも重要なポイントとなるのがグラウト充填です。基礎部分に免震ゴムを設置するのですが、アンカーボルトで固定するとともに基礎のコンクリートと免震ゴムの間にモルタルを充填するわけですが、その際に隙間や気泡がないように流し込むことが重要です。充填率は95%以上にしなければならないのですが、モルタルを隙間なく流し込むにはモルタルの粘度調整をはじめ、温度や湿度も関係していきます。この工事は冬場に行ったのですが、ヒーターでピット内の温度を上げるなど適切な環境をつくって工事を進めることで、グラウトの充填率は基準をクリアすることができました」と語るのは小澤所長を補佐しながら全工程の管理を任されている副所長の佐藤秀孝さんです。また、佐藤副所長は免震ゴム設置工事が順調に行えた背景には、これまでに小澤所長が2回の免震構造工事の経験による万全の準備があったからだと教えてくれました。

山留工事
切梁設置
根切
基礎躯体
免震設置
免震立上り枠

作業員不足という課題に対応するため
15日サイクルの工程と少数精鋭で工事に臨む

本工事は22階という超高層マンションのため、地下18mの堅固な地盤を支持層とする場所打ちコンクリート杭を採用しており、強固な基礎となっています。加えて躯体のコンクリートは高強度コンクリートを使用。その強度は基礎から13階スラブが42N/㎟、13階~ 16階スラブが39N/㎟、16階立上~ 21階スラブは36N/㎟、21階立上~ RSLが33N/㎟を使用することで耐震性などを高めています。同様に鉄筋は柱・梁の主筋を強度の高いSD490、鉄筋径35~38㎜を使用するとともに梁あばら筋には高張力金を使用しています。このように超高層マンションならではの強度を保つように厳選された材料が使用されています。
「ただし、秋田市内では高強度コンクリートを生産できる生コンプラントは限られているので、まずは生産力に合わせたコンクリート打設のスケジュールを組むことから手を付けました。例えば、通常は1回打設するところを2回に分けて打設を行うことを決めました。同時に、作業員不足という課題と働き方改革の推進を兼ねて、一般的には1フロアの工事は14日サイクルで行うところを、1日長い15日サイクルで工程表を組んで工事を進めています。このように工程を工夫することで無理のない工事を進めています」。(小澤所長)
また、小澤所長は品質が高くて効率的な工事を行うためには「作業員間のコミュニケーションと作業練度がもっとも重要」と説明します。つまり、同じメンバーでどのような段取りで工事を進めた方が効率的なのか、あるいは施工ミスが起こりづらいのかを話し合いながら最善の方法を見つけることです。そのため、作業員の人手不足を補うために少数精鋭の作業員でチームを作り、情報共有の徹底を図っています。
「私は元々、PC(プレストレスコンクリート)建築担当でしたが、ここで初めて一般建築の現場を経験しています。当然、初めて経験する工事ばかりなので、わからないことは佐藤副所長はじめ協力会社の職長などに必ず聞き、その上で施工の仕上げ確認は図面と入念に照らし合わせて漏れがないように気を配りました。マンション建築の場合、各フロアの工事は基本的に同じですから繰り返し行うことになります。そのため、低階層フロアの工事で開口部の位置などが少しでもズレると、その後の中高階層の工事をすべてやり直さなければなりませんので細心の注意を払って確認を行っています」。そう話す入社5年目の花輪康式さんは、前職でもPCの専門家として活躍していましたが、新たなスキルを身につけることで技術者としての幅を広げています。
そして設備担当として従事しているのがベテランの正田隆寿さんです。
「本工事の設備の最大の特徴は、北国ならではの様々な設備機器です。例えば、駐車場やエントランスへのアプローチ部分にある積雪・凍結対策のためのロードヒーティングをはじめ、居住部の温水ルームヒーターなどの機器があり、こうした北国ならではの設備機器の設置には細心の注意を払いながら工事を進めています。また、東北6県の現場を巡回しながら設備工事を担当する私のもうひとつの役割は、支店と各現場の橋渡しをすることです。現場の困りごとや課題を支店に伝えることで支援体制を強化してもらったり、支店の現状を現場に伝えることでうまく連携ができるように配慮しています」。
現場のみならず支店が一体となって職員が働きやすい環境をつくる。そんな東北支店の現場を大切にする姿勢が正田さんの説明からよく理解できます。

免振上躯体
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