工事の特徴

短工期で高品質な「MuSSL工法」を採用

MuSSL工法とは、円形ナットの支圧力を活用する継ぎ手や、あご付形状版により、耐久性と施工性を高めたプレキャストPC床版です。高速道路で使用されている既設の鉄筋コンクリート床版は、薄く、従来の継手では対応できないため、新しい継手構造のMuSSL工法が開発されました。今回の現場はピー・エス・コンクリート(株)水島工場で部材を製作しています。
「当社のプレキャストPC床版の形状は、他社にないあご付形状版(上図)を採用しているので接合部の底型枠が不要となり、安全性が高く工期短縮にも効果を発揮します。数多い接合部の施工で、人力作業となる型枠の設置・撤去を省略できることは、工期に制約がある中では大きなメリットです」」と伊藤所長が説明するように、本工事では降雪・積雪がある冬季および交通量が多くなるGWや盆休み前後は渋滞を避けるために工事を中断しなければなりません。限られた工期の中で迅速にそして安全に工事を進めるために、大きな効果を上げたのがあご付形状のMuSSL工法でした。このような状況下で大谷橋の上り線は2020年に全ての床版取替が完了し、現在は下り線の床版取替えが進められています。
「半断面床版取替工法では、まず追越車線を通行止めにして、既設床版の切断を行い、その後、順次既設床版を撤去し、プレキャストPC床版を架設します。1日あたり3枚の既設撤去と新設架設を繰り返し行い、間詰め部打設や舗装工を経て、追越車線側の施工が完了します。次に走行車線を通行止めにして同じ手順で床版架設を行い、PCケーブルを緊張して分割して架設した床版を接合するという流れになります。追越車線と走行車線の床版の位置が少しでもずれていると、PCケーブルを通すことができないので、接合ガイドキーを配置して精度を確保しました」と半断面ごとの床版取替えの難しさを説明するのは、床版取替工事の計画から施工管理までを担当する江上真介さんです。初めての半断面床版取替工法の本格的な適用とあって、さまざまな局面を想定しながら計画を立て、大谷橋の上り線の床版取替がすべて終了した時には、大きな達成感を感じたと言います。

施工全景

「フルキャスト壁高欄」で工期を短縮

MuSSL工法に加え、さらなる工期短縮のために今回の工事で採用されたのがフルキャスト壁高欄です。床版取替工事では、床版そのものの施工はもとより、道路両端に設置される壁高欄の施工においても、プレキャスト化を実現して工期短縮を図っています。
「従来はPC床版に取り替えた後、現場で壁高欄を施工する方法が一般的でしたが、フルキャスト壁高欄の採用により、PC床版にあらかじめ壁高欄を構築して架設できるため、現場での施工を最大限省力化でき、さらに架設後は目地部に無収縮モルタルを充填するのみで施工が完了するため、かなりの工期短縮を図ることができます」(伊藤所長)。
こうした床版取替工事と同時進行で行われているのが、9橋の耐震補強工事です。耐震補強工事は、落橋防止構造、支承取替工事などがありますが、事前に各橋の調査を行った上で適切な補強工事を行っています。
「9橋の現場は距離が離れているため、携帯電話だけでは状況も把握しづらいのではないかと考えて、iPadによる画像のやりとりやグループチャットの活用を所長に提案しました。この提案をすぐに取り入れていただき、着工時からさまざまな場面でiPadを活用しています」と説明するのは発案者の矢野裕基さんです。床版取替工事の施工管理を担当する矢野さんは、判断に迷う際には現場の施工状況などを撮影して上司にすぐに送信し、アドバイスを仰いでいます。また、図面を取り込めばiPadで確認できるので、図面が風に飛ばされる心配もなくなり、高速道路上でのリスクも低減しました。さらに協力会社にも連絡事項はチャットを活用してもらうことで、報告漏れをなくし、情報共有を図っています。

水島工場で製作されたプレキャストPC床版
既設床版撤去
フルキャスト壁高欄が設置された
プレキャスト床版の架設
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